静岡県のお茶の基礎知識 「深蒸し茶」と「浅蒸し茶」

お茶に関してよく耳にする質問のひとつが、「深蒸し茶と浅蒸し茶ってどう違うの?」というもの。

お茶を製造する『製茶工程』はいずれ詳しく説明しますが、今回は『蒸し』の違いを簡単に説明します。

上の写真が製茶工程における「蒸し作業」です。生葉に蒸気をあてることで、①生葉の青臭さを取り除く。②葉の中の酸化酵素の動きを止めて、茶葉を緑色に留める。のが目的です。つまり、この蒸し工程があるから、日本茶は緑色なのです。

そして、この工程で蒸し時間の長いお茶が「深蒸し茶(煎茶)」、蒸し時間が短いのが「浅蒸し茶(煎茶)」となります。

上の写真は深蒸し茶です。長い時間蒸していますので、葉が柔らかくなります。蒸し後の『揉み』『乾燥』といった工程を経るにしたがって、茶葉が細かく崩れてしまい、粉っぽい仕上がりになります。

見た目はあまり良くありませんが、お茶の渋みを和らげ、とろりとしたコクのあるお茶になります。

深蒸し茶の向いているのは、陽当たりの良い平地やなだらかな斜面で栽培した、厚みのあるしっかりした茶葉です。山の中で栽培する、薄い柔らかな茶葉は深蒸しに向いていません。

こちらは仕上げの揉み作業中の浅蒸し茶です。1枚1枚の葉っぱを、針のように細く細くよっていきます。こうしたお茶に仕上げるのは、山の中で栽培された厚みの薄い柔らかな茶葉です。平地の茶畑で栽培した厚みのある茶葉は、こうした仕上げに向いていません。

浅蒸し茶は、切れのある渋みと爽やかな甘み、明るい澄んだ水色のお茶に仕上がります。

「浅蒸し茶(煎茶)」「深蒸し茶(煎茶)」それぞれの良さがあります。TPOや料理、お菓子に応じて、茶葉の種類や淹れ方を選ぶ。そんなスタイルはかなりお洒落だと思います。

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