
うなぎ料理と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが「蒲焼」ではないでしょうか。
甘辛いたれをまとった、香ばしく焼き上げられたうなぎ。
普段何気なく「うなぎの蒲焼」と呼んでいますが、そもそも「蒲焼」という名前はどこから来たのでしょうか。
「蒲」という字は、現在のうなぎの見た目とはあまり結びつかないようにも感じますが、実はその由来をたどると、現在とはまったく違う、昔のうなぎの焼き方が見えてきます。
今回は、蒲焼という名前の由来や、現在のようなうなぎ蒲焼が生まれるまでの歴史をご紹介します。
そもそも「蒲焼」とは?
うなぎの蒲焼という言葉を何気なく使っていますが、あらためて蒲焼ってなにって問われると、「???」ではないでしょうか。
蒲焼とは、うなぎなどの細長い魚を開き、串を打って焼き、醤油やみりんなどを使ったたれをつけながら焼き上げる料理・調理法のことです。
現在では「蒲焼=うなぎ」というイメージが強いですが、蒲焼という言葉はうなぎだけを指すものではありません。
あなごやどじょうなど、ほかの魚にも「蒲焼」という調理法が使われています。
とはいえ、日本で蒲焼を代表する魚といえば、やはりうなぎ。
では、なぜうなぎを焼いた料理に「蒲」という文字が使われるようになったのでしょうか。
「蒲焼」の名前は、植物の「蒲」が由来?
蒲焼の名前の由来にはいくつかの説があります。その中でもよく知られているのが、昔のうなぎの焼き方が「蒲(がま)の穂」に似ていたからという説です。

蒲(がま)とはどんな植物?
蒲は、水辺や沼地などに生える植物です。夏になると、茎の先に茶色く細長い円柱形の穂をつけます。
まっすぐ伸びた茎の先についた茶色い穂を見ると、昔のうなぎの調理法との共通点が見えてきます。
昔のうなぎは、開かずに丸ごと串に刺して焼いていた
現在のうなぎ蒲焼は、うなぎを開いて骨を取り、平らな状態にして焼くのが一般的です。ところが昔は、今のような形ではありませんでした。
古くは、うなぎを開かず、長いまま串を刺して焼いていたとされています。
串に刺されて細長く焼かれたうなぎの姿が、茶色く細長い「蒲の穂」によく似ていたことから、「蒲焼」と呼ばれるようになったと考えられています。
蒲の穂の写真と見比べてみると、「なるほど、確かに似ている」と思われる方も多いのではないでしょうか。
今では平たく開いたうなぎを見慣れているため想像しにくいですが、「蒲焼」という名前には、昔の調理法の名残が残っているのです。
江戸時代になると、現在の蒲焼に近い形へ
時代が進むと、うなぎの調理法も変化していきます。
江戸時代には、うなぎを開いて串を打ち、焼き上げる調理法が広まり、現在の蒲焼に近い形になっていきました。
うなぎを開けば、身の厚さをある程度均一にでき、火を通しやすくなります。また、たれをつけながら焼くことで、うなぎの脂と甘辛いたれが合わさり、香ばしい蒲焼ならではのおいしさが生まれます。
調理方法が変わり、見た目は蒲の穂とは似ても似つかない形になりましたが「蒲焼」という名前だけはそのまま残りました。現在では、細長い魚などを開いて串を打ち、タレを塗りながら照り焼きにする調理法を『蒲焼』と呼ぶようになっています。
私たちが現在食べているうなぎ蒲焼にも、何百年も前の食文化の名残が受け継がれているのです。
同じ蒲焼でも、関東と関西では作り方が違う
現在のうなぎ蒲焼は、日本全国でまったく同じ作り方をしているわけではありません。
代表的なのが、関東風と関西風の違いです。
一般的に関東では、うなぎを背開きにし、白焼きしたあとに一度蒸してから、たれをつけて焼き上げます。
一方、関西では腹開きにし、蒸さずにそのまま焼き上げる方法が主流です。
同じ「蒲焼」という名前でも、地域によって食感や香ばしさに違いがあります。
関東風はふっくらとやわらかく、関西風は皮目が香ばしく、しっかりとした食感を楽しみやすいのが特徴です。

▼関東風と関西風の境目はどこ?が動画で見られます。
まとめ|「蒲焼」という名前には昔のうなぎの姿が残っている
普段何気なく使っている「うなぎの蒲焼」という言葉。
その名前の由来をたどると、昔はうなぎを開かず、長いまま串に刺して焼いていたことが見えてきます。
その姿が水辺に生える「蒲の穂」に似ていたことから「蒲焼」と呼ばれるようになった、というのが広く知られている説です。
その後、調理法は時代とともに変化し、現在のようにうなぎを開き、たれをつけながら香ばしく焼き上げるスタイルへと発展しました。見た目も作り方も大きく変わったのに、「蒲焼」という名前は今も残っています。
いつものうな重やうな丼も、名前の由来を知ってから味わってみると、少し違って感じられるかもしれません。
長い歴史の中で受け継がれてきた日本の味、うなぎの蒲焼。
ぜひ、その香りや味わいと一緒に、食文化の歴史も楽しんでみてください。
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