お歳暮とお中元の違いとは?それぞれの由来とマナーについて

日頃からお世話になっている方へ、感謝の気持ちとして贈る「お歳暮」と「お中元」。意味合いは同じように感じますが、どのような点に違いがあるのでしょうか。

またそもそも、どのような由来があるのか、詳しい内容を解説していきます。

お歳暮の由来

日本でお歳暮が始まったのは室町時代と言われていて、江戸時代に一般的な風習と広まったのがきっかけです。現代のようなお歳暮としての形は、明治30年頃に定着したと言われています。

お歳暮の由来は、先祖の霊を迎える「お御霊祭りのお供え物」として贈られていたのが発端です。新年を元気に迎え、福を呼び込むことを目的としたお供え物だったと言われています。

当時のお供え物は、塩鮭や鰤、餅といった年越しに必要なものが使用されていることが多く、年神様のお酒のおつまみになるものが好ましいとされていました。基本的に日持ちするものが選ばれていたのが特徴です。

分家や嫁いだ方が、本家や親元に12月31日に手渡しで贈っていたことが、当時のお歳暮の形になっています。

そこから、商人が年末に挨拶回りとして、周囲に贈り物をしていたことから、一気にお歳暮の習慣が広まったと言われているのです。

明治30年代になると、親族に贈り物として渡すだけでなく、取引先やお得意様に感謝の気持ちを込めて渡す習慣が増えていったと言われています。

お中元の由来

地域によって渡す日付に微妙な違いはありますが、お中元は夏の時期に渡すのが一般的です。由来は、昔の中国で行われていた行事が発端であるとされています。

中国には、道教と呼ばれる宗教があり、1月15日を「上元」・7月15日を「中元」・10月15日「下元」と呼び、それら全てを三元と定めていました。

それぞれ三元の日は、神様の誕生日と定めていて、供物を神に捧げるのが一連の行事になっていたのが特徴です。そのうち、中元を人間贖罪の日と定めることで、贖罪の行事が行われていました。

仏教では、この中元の日と同時期に盂蘭盆会(うらぼんえ)という先祖の霊を供養する行事が行われていて、この2つの行事が合わさったのが日本に伝わり、お中元という習慣が生まれたと言われています。

江戸時代には、お盆の時期に「盆供」と呼ばれる先祖への供物と共に、お世話になった方へ贈り物を渡す習慣としてお中元が周囲に浸透されていました。

お歳暮とお中元は、どちらもお世話になった方への感謝と挨拶が目的であるため、根本的な内容に違いはありません。

違いがあるとすると、贈る時期です。お中元は7月~8月に贈るもので、お歳暮は12月~20日前後までに贈ります。

そのため、お中元は暑い夏に体調を崩さないように、ソフトドリンクやフルーツを贈ることが多いでしょう。お歳暮は海産物や肉類など、また日持ちする食べ物が選択されるのが一般的です。

このように、時期が違うことで、お歳暮とお中元の中身が異なることが多いため、渡す時にはそれぞれ時期に合った贈り物を選択する必要があります。

またお中元は、お世話になっている方への感謝の気持ちとして贈ることを目的としますが、お歳暮は年末に贈ることから、「翌年も引き続き宜しくお願いします。」といった年末年始の挨拶も兼ねているのが特徴です。

特に取引先相手に挨拶を行うことは、ビジネスを円滑に進めるために重要な要素になるので、お世話になった方々への挨拶として、忘れずに贈ることを意識していきましょう。

どちらかだけ贈るのは失礼?

お中元とお歳暮、どちらも感謝の気持ちを込めて挨拶を行うものですが、両方とも毎年贈っていると、かなりの出費になります。出費が気になる場合は、お歳暮を贈るようにしましょう。

お中元の場合は、上半期にお世話になった方への感謝の気持ちと、夏の時期に健康を願って贈るものですが、お歳暮は1年間の締め括りで、来年も宜しくお願いしますという意味が込められているので、お歳暮の方が重要視されます。

もちろん、両方贈る方が丁寧な印象はありますが、お歳暮を贈るだけでも十分気持ちは相手に伝わるので問題ありません。

ただお中元を贈ってお歳暮を贈らないのは、マナー的に失礼に値するので、どちらか一方を贈るのであれば、お歳暮を選択しましょう。

お中元もお歳暮も贈り続けるのが基本

お世話になった方への感謝の気持ちとして贈るお中元やお歳暮は、一度贈った相手には、継続的に贈り続けることが基本になります。どちらも途中で贈るのを辞めてしまうと、縁を切ると誤って認識される恐れがあるので、一度贈った相手には必ず贈るようにしましょう。

取引先相手など、継続してお付き合いがあるかわからない相手の場合は、お中元やお歳暮を贈るのではなく、「御礼」か「無地のし」を贈るようにしてください。そうすれば、継続的に贈り物をしなくても失礼には値しません。

大切なのは、日頃の感謝の気持ちを込めることなので、引き続き取引を続けたい場合は、お中元やお歳暮で繋がりを絶たないように意識していきましょう。

お中元やお歳暮は、感謝と挨拶という点では、同じ意味が込められている贈り物です。しかし、贈る時期によって贈り物の種類が変わったり、年末に贈るお歳暮の方が重要視されるといった違いがあります。

それぞれの意味合いの違いを理解して、よりより付き合いのためにもお中元やお歳暮を贈って、相手との関係を良好なものにしていきましょう。