うなぎの効能を初めて書き残したのは、超有名なあの人でした。

大五うなぎ工房うまいもの発見隊&うなぎ博士の内山です。

7世紀後半から8世紀後半にかけて編まれた「万葉集」は、日本に現存する最古の和歌集。この編纂にたずさわった大伴家持(おおともの やかもち 718年~785年)は、百人一首に中納言家持として登場し、和歌名人「三十六歌仙」にも選ばれるなど、奈良時代を代表するスーパースターです。
家持は万葉集の編纂にたずさわっただけでなく、自身の歌も数多く収録しています。その中に、ひどい夏バテで痩せてしまった知人・石麻呂に贈った歌が載っています。

石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに 吉しという物ぞ 武奈伎とり食せ
読み:いしまろに われものもうす なつやせに よしというものぞ むなぎとりめせ
(大伴家持 巻十六-三八五三) ※武奈伎(むなぎ)=うなぎ

家持は痩せすぎの友人石麻呂に「石麻呂よ、夏痩せによいという、うなぎを獲って食べなさい」と勧めています。ざれ歌(滑稽みのある和歌)ですが、すでに奈良時代には、鰻に滋養強壮の効果があると知られていたと分かります。
つまり、現代に残る文献で、うなぎの効用を初めて書き記したのは誰か? 正解は、大伴家持でした。
では最後に、大伴家持が鰻を詠んだ和歌をもう一首。

痩す痩すも 生けらばあらむを 将やはた  武奈伎を漁ると 河に流れな
読み:やすやすも いけらばあらむを はたやはた むなぎをとると かわにながれな
(大伴家持 巻十六―三八五四)

「夏バテでげっそり痩せても、おとなしくしていれば生きられるのだから、元気になろうとウナギをとりにいって、川に流されないようにしなよ!」という意味。先の一首と同じくざれ歌ですが、友人を心配しつつユーモアのある優しさが感じられて、やはり流石ですね。

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